小田原文化財団 江之浦測候所

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日本商環境デザイン協会 (JCD) レビュー

江之浦測候所は、海を見渡す広大な蜜柑畑の一角にある。

現代美術作家・杉本博司自らが構想・設計を手掛けたギャラリー棟、石舞台、光学硝子舞台、茶室、庭園、門、待合棟などから構成され、古代から近代までの日本の建築遺構から収集された考古遺産(千年を超える屋久杉の天板、明月院正門、平安時代の日吉大社の礎石、鎌倉時代の塔)等が配され、あたかもタイムトリップしたような感覚におそわれる。時を忘れ、自然と一体となった体験型屋外美術館、設計意図は見事に成功してると言える。

平面的には様々な時間の軸線が綿密に計画されている。茶室のにじり口から石鳥居を望む方向、石舞台の橋掛かりの軸線はともに春分秋分の日の出の方向。冬至光遥拝隧道は冬至に朝日が昇る方角に向いており、そこからの借景はまさに杉本作品となっている。

構造的には冬至光遥拝隧道、100mギャラリーのキャンテレバー、釘を使わない懸造りの土台、と技術の粋を尽くした空間でもある。また、建築群に使用される素材は、近隣で得られる素材を使用し、擁壁、造園等に使用される石材は根府川石や小松石等、造園の為の景石は、広域農道整備事業に伴い、近隣の早川石丁場群跡から出土した江戸城石垣用の原石を使用している。

建築 基本設計・デザイン監修:新素材研究所 担当/杉本博司・榊田倫之・磯崎洋才

[1]冬至光遥拝隧道と光学硝子舞台 ©小田原文化財団
[2]石舞台 ©小田原文化財団
[3]夏至光遥拝100メートルギャラリー先端 ©小田原文化財団
[4]夏至光遥拝100メートルギャラリー ©小田原文化財団
[5]冬至光遥拝隧道 ©小田原文化財団
[6]明月門 ©小田原文化財団
[7]茶室「雨聴天」 ©小田原文化財団
[8]杉本博司「海景」Sea of Japan, Oki 1987 ゼラチン・シルバー・プリント ©Hiroshi Sugimoto /Courtesy of Gallery Koyanagi

休館日 火・水曜日、年末年始および臨時休館日
事前予約・入替制
午前の部: 10時~13時
午後の部: 13時30分~16時30分
入館料 (インターネットから事前にご購入)
3,000円(税別)

推薦団体
施設名
小田原文化財団 江之浦測候所
住所
〒250-0025 神奈川県田原市江之浦362-1
電話番号
0465-42-9170
竣工年
2017年10月
URL
https://www.odawara-af.com/ja/enoura/

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