金沢21世紀美術館

撮影:渡邉 修

撮影:渡邉 修

撮影:渡邉 修

撮影:渡邉 修

日本デザインコンサルタント協会 (JDCA) レビュー

世界に類のない斬新な美術館という評価は定着し年間二百万人以上を集めて、今は金沢城、兼六園と並ぶ金沢の観光の目玉となっている。それを導き出したのは、地元の人にも小学生にも好きになってもらえる、身体性や参加性を高めた施設作りとキュレーションにあると言って良い。金沢21世紀美術館の成功は妹島+西沢という稀代の建築家ユニットに負うだけでなく、形ではなく状況を見せるという企画運営側のコンセプトに因るものだろう。Kapoor, Eliasson, Turrell 等の恒久展示室制作においては、それぞれ第一線の空間専門家が参加して作家の意図通りの空間が実現されている。

東京デザインセンター (TDC) レビュー

美術館を語るのにふさわしくは無いかもしれないが、21世紀美術館の場合、人を呼び寄せる空間としての魅力を加味して費用対効果を述べたいと思う。建設費は美術館部分のみで84億円 (坪単価にして160万円)、美術館としては平均的な数字だと思う。しかしこれを集客施設として考えた場合、金沢市に与えた恩恵は比類無い。最近話題のヘルツォーク&ド・ムーロン設計のドイツのエルプフィルハーモニー・ハンブルクは、巨額なコストの増加と建設の大幅な遅れから、市民から猛反発を受けている。当初の推定予算は7700万ユーロ (94.5億円) →1.14億ユーロ→7.89億ユーロ (970億円) となり、7年遅れで完成。その予算のふくれあがり方は、新国立競技場のザッハ案どころではない。対してSANAAによるこの美術館建築は、芸術性と社会性を兼ね備えている点でも、高く評価されてよいと思う。

建築設計:妹島和世+西沢立衛 / SANAA
受賞歴:2004 ヴェネツィア国際建築ビエンナーレ金獅子賞、2005年度グッドデザイン金賞、日本建築学会賞作品賞 (2006年)、BCS賞2006、2006 International Illumination Design Award of Merit

推薦団体
施設名
金沢21世紀美術館
住所
〒920-8509 石川県金沢市広坂 1-2-1
電話番号
076-220-2800
竣工年
2004年10月9日
URL
http://www.kanazawa21.jp

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